4日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は日本国債への投資について、潜在的なリスクが高まっていると指摘しました。
これは年金基金や銀行などの国債運用に変化が出始めていることや、2015年までに国内の民間貯蓄が不足し財政赤字を埋められなくなるとの見方を紹介したものです。
利回りが急上昇した場合、「失われた20年がさらにひどい事態に発展する」と警告しています。
失われた20年よりもさらにひどい事態に発展するとは、フィナンシャル・タイムズもよくぞ言ったものだと思います。
私はこの問題を10年以上前から指摘していますから、このフィナンシャル・タイムズの姿勢は大歓迎です。
敢えて言えば、フィナンシャル・タイムズがもう少し早く気づいてくれていたら、今のような事態は避けられたかもしれないと残念に思います。
今回のフィナンシャル・タイムズの記事では、金融機関のアナリストの見解なども織り交ぜながら、相当細かい点まで言及しています。
日本の家計貯蓄率はリーマン・ショック以降、一層下落を続け、ついに消費大国の米国を下回る水準になってしまいました(2009年ベースで日本2.3%・米国4.3%)。
さすがに2%台の貯蓄率では今の日本政府の無駄遣いをファイナンスすることは不可能でしょう。
そうなってくると、進む道は2つです。1つは「外国から借りる」という道です。この場合、利回りを高く設定する必要がありますが、それだけで日本国債はひっくり返ってしまうでしょう。
もう1つは、「誰も日本国債を買わない」という道です。国債を引き受ける人がいなくなってしまえば、無駄遣いを続けてきた日本の財政は、間違いなく立ち行かない状況になってしまいます。
私は10年以上も前からこのような予測をして警鐘を鳴らしてきました。
特別に難しいことではなく、論理的に考えれば当たり前の帰結です。
それにも関わらず、日本政府もマスコミも未だにこの事態を理解していないことが大きな問題だと強く感じます。
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